ストレスと精神障害
ストレスが原因で精神障害に罹患することはよく知られています。ここでは、ストレスと精神障害の関係について説明します。
職場で問題となるストレスは、極端な長時間労働、パワハラ、セクハラなどが代表的なストレスです。しかし、ストレスの強度と精神障害発症の関係は単純ではありません。ここでは、職場でみられる代表的な精神障害である適応障害とうつ病について説明します。
1) 適応障害とストレス
適応障害とは、ストレスの多い環境の中で必死に頑張っているうちに、気分の落ち込みや、不安、不眠、情緒不安定などうつ病のような症状が出てくるものです。うつ病との違いは、ストレスがなくなれば速やかに症状が改善することです。ストレスと適応障害の関係で注意すべき点は、ストレスに対する反応は個人差が大きく、人によってはさほど強くないストレスでも症状が発現することです。適応障害の治療は、ストレスの多い環境を取り除くことですが、精神症状が不安定な時は問題の解決をあきらめてしまうこともあります。一時的に薬物療法を行うことでより冷静な解決法を見出し、ストレス環境を自分の力で取り除くことが出来ることもあります。
2) うつ病とストレス
うつ病は、本来原因不明の病気ですがストレスが続いた後に発症することもあります。ストレスに続いて発症したうつ病は上記の適応障害との鑑別(区別)が困難です。鑑別するためにはストレスから離れた状況で経過を観察することが重要です。適応障害であれば精神症状は比較的速やかに改善し、うつ病であればストレス環境から離れても症状は継続ないし悪化していきます。
ストレスと適応障害、うつ病の関係を下の図に示しました。
ストレスの程度と個人差
一般的にはストレスが一定以上になると精神症状が発症する頻度が高くなります。
しかし、人によってはさほど強くないストレスでも精神症状が発症することがあります(脆弱性モデル)。ストレスに弱い人は、発達障害、人格障害、過去にうつ病や他の精神障害の既往があることもあります。生活史上の問題を抱えていることもあります。
ストレスと精神障害の関係について説明したページです。職場で問題となるストレスは、極端な長時間労働、パワハラ、セクハラなどが代表的なストレスです。