ストレスチェックにおける産業医の役割
弊社顧問の渡辺登が第56回日本人間ドック学会学術大会のシンポジウム「ストレスチェックにどのように取り組んでいくべきか」の中で産業医の役割について発表し、Medical Tribune 2015年9月3日号に掲載されました。
ストレスチェック制度導入間近
産業医の役割は職場と従業員の調整役
労働者のメンタルヘルス不調の予防を目的とした新たな対策として、「ストレスチェック」を導入する改正労働安全衛生法が今年(2015年)12月から施行される。赤坂診療所(東京都)所長の渡辺登氏は、ストレスチェック制度を活用しメンタルヘルス不調のリスク要因を低減させ、働きやすい職場を実現するために、産業医は職場と従業員の間の調整役を担うべきと同学術大会のシンポジウム「ストレスチェックにどのように取り組んでいくべきか」で発表した。
問題点を抽出し、解決に導く
初めに渡辺氏は、産業医は予防、主治医は診断と治療を担っていることを強調し、「産業医は、従業員が常日ごろから安心して働ける環境を整えることが重要」と述べた。 産業医は、高ストレス状態にいる従業員の訴えに耳を傾け、問題点を抽出することが重要な任務である。例えると、産業医は中立の裁判官、主治医は従業員の味方である弁護士の立場といえる。産業医はあくまで職場と従業員の調整役であり、勤務形態や適正配置、環境調整などについて事業主に助言する役割を持つ。 同氏は、産業医の面接指導が必要となる事例として、自閉症スペクトラム障害の傾向のある従業員が職場にいる例を挙げ、対応を検討した。このような従業員は上司の立場からすると、情報をため込み優先順位が付けられず、情報の伝達がうまくいかなかったり、落ち着きがなく周囲に迷惑をかけているように見えるという。 このような場合に産業医がなすべき当事者本人への工夫の提案として、自分が今、何に困っているのかを分析させるとともに、自己理解を試み、行動の特徴などを探り、対処方法と環境整備について考えるように導くことが提案された。 職場の同僚への対応としては、まず当事者についての理解が深まるよう説明に努める。次に当事者にとっての職務内容の適性を吟味し、環境整備やキーパーソンとなる人物のマッチングをする。問題を職場のみで抱え込まず、人事担当者や主治医、家族などが共有することも欠かせない。 同氏は「ストレスチェック制度の導入に当たっては、従業員の心の健康づくりへの関心を高める機会として、積極的に活用していくことが望まれる」と述べた。
<出典元:株式会社メディカルトリビューン Medical Tribune 2015年9月3日号 8ページより抜粋>
ストレスチェックにおける産業医の役割は職場と従業員の調整役となり、問題点を摘出し,解決に導くことです。