• 03-5981-8246
  • メールでのお問い合わせ
  • みんなの健康管理室とは?

*精神科産業医が行うストレスチェックです。
*企業の嘱託産業医の先生と連携して高ストレス社員に対する専門的なアドバイスを行います。
*ストレスチェックの集団分析結果より、企業の健康いきいき職場づくりに向けてのアドバイスをいたします。

職場でのパワーハラスメント

パワーハラスメント(パワハラ)防止を義務付ける関連法が令和1年6月29日午前の参院本会議で可決、成立しました。これによって、これまであいまいだったパワハラを定義し、企業に相談窓口の設置など新たに防止措置を義務付けるなどの具体的防止措置が義務付けられました。パワハラは、労働紛争の最も多い相談件数であり、労災が認められる頻度が最も高いものです。過去には、問題とならなかった従業員に対する指導、態度がパワハラと認定されることもあり得ます。ここでは、厚労省のパワーハラスメント対策導入マニュアル(明るい職場の応援団のサイトhttps://www.no-pawahara.mhlw.go.jp/よりダウンロード出来ます)について簡単に説明したいと思います。

パワハラの定義

パワハラは、同じ職場で働く者に対し、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に業務上の適正な範囲を超えて精神的、身体的苦痛を与える行為(又は職場環境を悪化させる行為)と定義されています。
職場内の優位性:パワハラは上司から部下の関係だけでなく、同僚間、部下から上司、取引相手からのパワハラなど、様々な関係の中で起こります。優位性というのは職業上の地位(上司、部下)だけに限りません。同僚や部下が、業務上の知識や豊富な経験を持っているため、協力を得られなければ業務の遂行が困難になる場合、その同僚や部下からのいじめや嫌がらせもパワハラと言えます。
業務の適正な範囲:成果が求められる職場では、業務上の指示、注意、指導が厳しくなることはありうることです。それが業務の適正な範囲を超えているかどうかの判断は、“社会通念に照らす”という常識的な判断にゆだねられています。指示、注意、指導の内容が明らかに業務上必要性がない場合(例;小さなミスに対して長い反省文を繰り返し提出させる、指導にからめて人格を否定する発言を繰り返す)。指示、注意、指導の様態(様子)が極めて不適切で社会通念上、許容範囲を超えている(例;大声で怒鳴る、暴力を振う)。等の場合、業務の適正な範囲を超えていると言えます。
精神的、身体的苦痛を与える行為(又は職場環境を悪化させる行為):精神的苦痛については、苦痛を受ける個人の感受性も関わってきます。客観性の指標として、平均的な労働者の感じ方が基準となっています(例:同じ職場で特定の上司に恐怖感を感じている労働者が複数いる、特定の人物が、長期にわたり無視されていることが他の労働者から見ても明らかである)
上記の3つの条件を満たせばパワハラと認定されますが、さらに、パワハラを6つの類型に分類し、パワハラ行為を明確化することが出来ます。

パワーハラスメント6つの類型

身体的な攻撃 上司が部下に対し、殴打、足蹴りをする
精神的攻撃 上司が部下に対して、人格を否定するような発言をする
人間関係からの切り離し 自身の意に沿わない社員に対して、仕事を外し、長期間にわたり、別室に隔離したり、自宅研修させたりする
過大な要求 上司が部下に対して、長期間にわたる、肉体的苦痛を伴う過酷な環境下での勤務に直接関係のない作業を命ずる
過小な要求 上司が管理職である部下を退職させるため、誰でも遂行可能な業務を行わせる
個の侵害 思想・信条を理由とし、集団で同僚一人に対して、職場内外で継続的に監視したり、他の社員に接触しないように働きかけたり、私物の写真撮影をしたりする

パワーハラスメント6つの類型

予防のために
トップのメッセージ 組織のトップが、職場のパワーハラスメントは職場からなくすべきであることを明確に示す
(厚労省のサイトで定型文を参照して下さい)
ルールを決める 就業規則に関係規定を設ける、労使協定を締結する
予防、解決についての方針やガイドラインを作成する
実態を把握する 従業員アンケートを実施する
教育する 研修を実施する
周知する 組織の方針や取り組みについて周知・啓発を実施する
解決するために
相談や解決の場を設置する 企業内・外に相談窓口を設置する、外部専門家と連携する
ルールを決める 行為者に対する再発防止研修等を行う

パワーハラスメント対策を実際に始めよう

パワーハラスメントの定義、類型、予防、解決について理解したら、パワーハラスメント対策を実際に始めましょう。
1)まずは、形から;就業規則(あるいは労使協定書)の中にパワーハラスメントを禁止する規定を付け加えましょう;詳細は厚労省のマニュアルを参照してください。
2)相談窓口を設置しよう(内部、または外部に設置)
内部相談窓口の設置;人事労務部門が担当する、管理職や従業員の中から選任する、社内の産業医、カウンセラーが担当する、労働組合が担当するなどの方法があります。
外部相談窓口の設置;弁護士、社会保険労務士の事務所、その他の外部機関
(窓口は内部で、問題のありそうな事例では、外部の弁護士、社会保険労務士に相談するというパターンが多いと思われます)
3)実態把握アンケートを実施しよう
アンケート調査は、パワーハラスメントの予防のため極めて有効な手段です。調査をすること自体が抑止力になります。また、パワーハラスメントを受けている従業員だけでなく、周囲の意見を知ることが出来る客観的な資料として用いることが出来ます(アンケートの質問例は厚労省のマニュアルを参考にしてい下さい)。
4)教育、研修を実施しよう
総合的なハラスメント研修の中に、パワーハラスメント研修を加えましょう。性的ハラスメント、妊娠、出産、育児休業などに関するハラスメント、性的少数者に対するハラスメント、コミュニケーションが苦手な従業員に対するハラスメントなどについて総合的に研修することが効果的です。研修の時間が無駄だ、面倒だと思う人もいるかも知れません、しかし、いったん問題が起こるとそれに費やされる時間とエネルギーは研修の時間とは比べ物になりません。
5)周知しましょう
総合的なハラスメント対策、メンタルヘルス対策、労働環境対策などに関する情報に従業員に積極的に知らせましょう、ポスターを掲示する、パンフレットを配布するなどの方法が一般的です。
6)相談を受けた場合の対応

事実関係の確認

先入観を捨てて、中立的な立場で話を聞くことが重要です。どこで、いつどのような事が起きたのか正確に聞いて下さい。同じ部内での目撃者、過去に同様のパワーハラスメントに合った者がいないかどうか調査します。守秘義務に注意しながら聞き取りをしましょう。将来裁判になることも視野に入れながら、正確に記録し保存して下さい、不正確な情報や、推測がないか注意しましょう。

パワーハラスメント行為者に対する対応

対応としては、行為者に対する注意、指導、行為者から相談者への謝罪、人事異動、行為者への懲戒処分などがあります。対応について迷った場合は、弁護士、社会保険労務士、弁護士会の法律相談、都道府県労働局の総合労働相談コーナーを利用することもいいでしょう。

その後のフォローアップと再発防止

相談者、行為者の双方に対し、会社として取り組んだことを説明しましょう。
同様のハラスメントが起きないように継続的なモニタリングも必要です。

以上、厚労省のパワーハラスメント対策導入マニュアルについて簡単に説明しました。従業員を守ることは企業を守ることに他なりません。厚労省のマニュアルを参考にして、職場の総合的なハラスメント対策の一部にパワーハラスメント対策を加えましょう。

お問い合わせ 「ストレスチェック導入」についての
お問い合わせなどお気軽にご連絡ください。
03-5981-8246 メールでのお問い合わせ
ページトップへ戻る