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うつ病による休職者の復職について

うつ病により休職した患者さんが復職するとき、再発したらどうしよう、また同じことを繰り返すのでは、と不安になることがあります。実際、復職した後、すぐに再発し再び休職となることも決して稀ではありません。厚生労働省は、休職していた労働者が復職する際の支援について手引き(マニュアル)を作りました。現在では、多くの企業がこの手引きを参考にして休職者の復職を支援しています。ここでは、この手引きについて簡単に説明したいと思います。

復職支援5つのステップ

ステップ1 休職開始

仕事をし続けることが困難な場合は、医師(精神科)が休職の判断をします。多くの場合、労働者が上司、あるいは人事担当者に“精神科医から休職が必要だと言われた。”と伝え、次に、会社が労働者に、主治医の診断書を持ってくるよう指示します。そして、その診断書を会社に提出した時点から休職がスタートします。
しかし、キャリアに傷がつく、周囲に迷惑がかかる、休職したら職場に戻れなくなる、などと訴え、休職を嫌がる人も少なくありません。うつ病になる人は、責任感のある人が多いため、他人に迷惑をかけることを極端に嫌がります。しかし、残った人の仕事の分担、調整をするのは本人の仕事ではありません、つまり、うつ病になる人は、このように、本来自分の仕事以外のことについても責任があると思うことが多いのです。実際に、会社を休みがちになっている状況や、仕事のパフォーマンスが極端に低下し、その結果、労働時間が伸びている、そのためさらに自己評価が下がるような状況では、その悪循環から抜け出す一番良い方法は、休職することなのです。
休職に入る前に、休職中の経済的支援(大企業では減額された給料が支給される場合があります、多くの会社は傷病手当金を利用します)、休職中の社会保険料の支払い、休業中の連絡方法、連絡の頻度、休職可能な期間などについて説明を受けます。

休職が決まると、休んでいる間は、何をすればいいのですか?という質問をしばしば受けます。大雑把に言うと、<とにかく休息する時期>、<活動を通して回復の程度を知る時期>、<復職に向けて行動する時期>の3つの時期に分けることが出来ます。

ステップ2 回復、そして主治医による職場復帰の判断

抗うつ薬の効果は、投与してから2週間以降にようやく出てきます。最初に睡眠が改善、その後、気分が改善し、好きなことが楽しめるようになってきます、最後に、気力、意欲が改善し、以前の自分に近づいてきます。
休職中も、会社(人事、または上司)と休職者は定期的(2週間~1か月に1度)に連絡をとりましょう。

うつ病の症状が改善し、安定した状況が4週間程度続けば、復職について考えてよいでしょう。復職の気持ちだけが強く、十分に回復していない場合、復職しても再発するリスクが高くなります。復職の目安は、午前中は、図書館で集中して本が読める(雑誌や、漫画ではなく)、午後は買い物、散歩などの身体活動が出来る、家では簡単な家事が出来る、食事がおいしいと感じ、疲労感なく1日を過ごすことができる、睡眠も取れて、朝の目覚めもよい、こうした状態が安定して続くことです。

この時期に、復職する職場の環境についても考慮しなくてなりません、うつ病の誘因として、職場の環境に問題があることもまれではありません、慢性的に過重労働が行われている部署、無理なノルマが果たされる部署、本人に重い責任が負わされる部署、パワハラ的言動で知られる上司がいる部署など、職場環境問題がある場合、同じ職場に戻すことは再発のリスクが高く好ましくありません。このような場合は、復職の診断書には、復職後の業務上の配慮について記載することもあります(例:復職の際は、異動を含めた職場環境の調整が必要である>)。

ステップ3 産業医、会社による職場復帰の可否の判断および復職復帰支援プランの作成

主治医から「復職可」の診断書が出たことが即、復職可能ということではありません。主治医は、あくまで“うつ病が一般的な復職可能レベルまで回復している”と判断するに過ぎません。職場が考える復職条件とは、週に5日間、1日8時間、以前と同レベルの労働が出来ることです。つまり、その職場独自の労働環境における業務遂行能力について産業医、人事担当者、上司などが判断するものが復職判定です。ですから、主治医が復職可でも復職判定で、復職不可となることはあるのです。

産業医や、会社が労働者の求める復帰の条件は下記のようなものです。

□ 労働者が十分な意欲を示している
□ 通勤時間帯に一人で安全に通勤ができる
□ 決まった勤務日、時間に就労が継続して可能である
□ 業務に必要な作業ができる
□ 作業による疲労が翌日までに十分回復する
□ 適切な睡眠覚醒リズムが整っている、昼間に眠気がない
□ 業務遂行に必要な注意力・集中力が回復している

復職が可能となった場合、職場復帰支援プランの作成を行います。支援プランは、主治医からの診断書、産業医の意見などを参考に会社が行います。支援プランの作成で考慮すべきことを下に示しました。

今回のうつ病の発症に関して
□ 職場環境に問題があった
□ 本人の性格を含めた適応力に問題があった
□ 誘因として思い当たることはない

職場環境に問題があった場合、下記の点について考える必要があります。
a) 人間関係調整のため異動が必要かどうか(パワハラ傾向のある上司がいる、取引先の担当者がパワハラ傾向がある)。
b) 仕事の負荷を減らす必要があるかどうか(労働時間が極端に長い、責任が極端に重い、業務量が極端に多すぎる)。
c) 本人の適性を考慮した異動、職種の変更が必要かどうか(専門外の知識を求められる、本来やりたかった仕事とかけ離れている)。

本人の性格傾向、適応能力に問題があった場合などは、カウンセリングなどを通し、ストレス対処法を獲得することが重要です。認知行動療法や自己主張訓練(アサーショントレーニング)、マインドフルネスなどをこの時期から開始してもよいでしょう。

また、本人にも誘因が思い当たらない場合(うつ病ではしばしばあります)は、精神科に治療を任せればよいでしょう。真のうつ病では、誘因が分からないことも多いことを知っておく必要があるでしょう。
つまり、どのような支援が最も復職の助けになるか考慮することが必要です。人間関係は良いのに、異動させることが良いことであると判断し、逆に負荷が増えることもあります。

下図にストレスがある時の対処方法、本人に問題がある時の対処方法について示しました。

ステップ4 最終的な職場復帰の決定

ステップ4では、最終的な復職判定を行います。ステップ3で作成した支援プランに沿って、産業医が意見書を書きます。また、復職支援プランを労働者に通知します。

ステップ5 職場復帰後のフォローアップ

復職者が、問題なく勤務できているかどうか確認します。本人に聞くだけでなく、上司などの意見も参考にします。また、復職支援プランが適切に実施されているか確認します。場合によっては、復職支援プランの見直しも行います。再発の兆候があった場合には、素早く産業医が面接し、主治医へ連絡します。主治医が、再発の兆候を先に見つけた場合には、それを産業医に伝えます。
また、本人がきちんと治療を受けているか確認することも重要です。
また、復職者の周囲に過度の負荷がかかっていないかについても配慮します。

なお、復職へのプロセスは会社によってかなり異なります。大企業の場合は、休職期間中も一定割合の賃金が支払われているため、1-3カ月間をリハビリ出社期間として、時短勤務を指示している会社もあります。また、職場はリハビリをする場所ではないとの観点から、復職したらフルタイムで以前と同様の作業を求める職場もあります。また、特殊なケースでは、休職期間中に、出勤訓練と称し、会社の近くのカフェまで来て一定の時間を過ごすというトレーニング期間を設ける会社もあります。

下図に、復職ステップを示しました。

リワークプログラムの利用

リワークプログラムは、準備期間、参加期間が長く、初めての復職から利用する必要はありません。しかし、休職を繰り返す場合、休職期間が長期に渡っている場合などは、復職をサポートする有効な手段です。

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